家族でインドに行ってきた

『インド旅行記』が雑誌ブリコラージュに掲載いただきました。

雑誌では編集されて短くなりましたので、ここではフルバージョンを公開します。

 

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悪夢の一人旅から20年
家族でインドに行く。あのインドに・・・。20年前、バックパッカーとして一人旅をしてズタボロにされた国。首都デリーに意気揚々と降り立ち、「ガイドブックなんかあてにしないぜ」と空港で「ホテル、ヤスイ」と声かけてきた男の車に乗り、真っ暗の道をホテルまで。ロビーは悪のたまり場で、タイガージェットシン(新日本プロレス全盛期の悪玉レスラー)のようなやつらに囲まれ、一泊70ドルだといわれ、安宿の何十倍もの料金をふんだくられた。部屋では監視され、悪いレートの両替をされた上に、放り出され、助けてくれたキリスト教徒のジョンは僕の財布を持ち逃げした。いい思い出は一つもない。よかったのは、騙されて、放り出された置屋の娘の気持ちを疑似体験できたことぐらいだ。

 

 

インドの神様より「行きたいなら、相談はせずに申し込め!!」

でも20年ぶりにインドの神様がどうも呼んでいる。あんなさんざんな国なのに、もう一度行きたくなる、それがインドの魔力。僕も出発の半年前から引き寄せられていたようだ。相談するより早く、「家族全員で行きます」と申し込んでしまった。こういう話は相談して「あーでもない、こーでもない」としてると潰れる。サッと行動するに限る(もし家族で行こうという方は、ぜひ家人に相談せずに申し込むことをオススメします)。
小6の娘は、パンフレットのタイトルをみてこう発音した「サンコウハルジュと行くインド旅行?」「ミヨシハルキと読むの!しっかり覚えとけよー!お父さんの師匠なんだからな!」と言い聞かせる。
三好さんに食堂で隣り合った際「介護職よ、北欧に行かずにインドに行こう。あれ名言ですね」
そういったら、三好さんが「ま、北欧はいったことないんだけどね~」とニヤッと笑いました。その時「この人、北欧にはまったく行く気がないな」と確信しました。
でも、このキャッチフレーズはよくできた「踏み絵」です。これに反応して申し込んでくる人なんだから、参加者はみんなバカ・・・、いや面白い人たちに決まってる。思った通り、娘たちに会わせたい人たちばかりでした。

 

 

 

インド時間はじまる
デリー空港に10時間のフライトで到着。インドへの入国審査では、参加者数名がいつまでたっても集合しない。メンバーの顔触れからして、いかにも怪しいメンツが入国できていないのである。小林敏志はじめ、山田裕一、中川晴彦、こてっちゃん・・・「小林君たちが入国を拒否されたに違いない!」と三好さんも心配げにゲートの前をうろうろする。待つこと30分以上、なんとかこの怪しいメンツが合流した。どうやら入国審査官が勤務終了時間になると、自分の前に並んでいる人たちをほったらかして帰宅してしまうらしく、並んでいた人たちは全員別の列の最後尾に回されるという事態が発生したらしい。さすがである、入国からして「インド時間」の洗礼である。日本のコチコチとせわしくなく刻む時計の針をグイッと引きちぎって、指先でピーンと草むらに飛ばされてしまった感じ。入国時にこうやって、僕らのこりかたまった時間観念や倫理観なんかをグニャグニャにほぐしてしまうんだな、ツアーの皆にインド時間が流れ始める。

 

 

素晴らしきガイド、アローラ
親しみ深い笑顔の男性ガイド、アローラの家で晩御飯を呼ばれる。おいしいスパイスの効いたチキンなど家庭料理に癒される。アローラはターバンを巻いたシーク教徒。シーク教徒はとても勤勉でインド人の間でも信頼される人たちなんだって。このツアーでも本当にそう感じました。とても心強いガイドです。アローラに会えるだけでもこのツアーは来る価値ありです!

アローラにインドの宗教対立について聞いた。「インドにはヒンズー教、イスラム教、シーク教、キリスト教、仏教などがあって、もちろん喧嘩はあります。でもそれは家族が喧嘩するようなもの。しばらくたったら仲よしになるんです」行きつくところまで行くのが宗教対立じゃないの?でもそういえば、インドは多民族なのに内戦で治安が悪いとかって聞かない。これはインドの人々は懐が深く、共存する知恵を持っているからだと思う。ISへの空爆とか、報復のテロとかしてる人たちにも知ってほしい、世界が学ぶべきフトコロ。
翌日は汽車でアグラに行く。この列車では高1の娘はインドの青年と向かい合わせに座り、折り紙でコミュニケーションをとっていた。折り紙は世界共通語であることを実感。みなさん、鶴は覚えておきましょう。

 

散骨に祈る
タージマハール、アグラ城の観光のあと、三好さんがみんなを誘う。参加者の保持(やすもち)さんがお母さんのご遺骨を散骨するので川辺にみんなで行かないか?というのである。ヤムナー河のほとりに全員が近づく(自由参加といいながらほぼ全員が参加)。「ありがとう」と言いながら散骨される保持さんの姿に皆が手を合わせる。長く介護生活をされた親子の悲喜こもごも。自分は亡き母に何をしてやれたか?あれでよかったのか?そんなことが浮かぶ。こんな神秘的な別れの光景を見せていただくと、たぶん参加者それぞれが自分の親を思ったことだろう。僕は思った「介護しながら親子の別れをたくさん見せていただいてきたけど、慣れちゃってたな。これって本当はあまり見せていただけない特別なことなんだ」と、改めて気づく。

 

 

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祈る保持さん

このヤムナー川は東に流れ、ガンジスに合流する。保持さんのお母様もガンジスの大きなふところに抱かれることになる。このインド旅行で一番静寂な時間が流れていく。

 

介護職の性(さが)
そのあと一行のバスはインドの無法渋滞に巻き込まれ、静寂なひと時はかき消されてしまう。バスの窓から一同がインドの渋滞にくぎ付けになる。効率で言ったら最低の交通状態である。信号はなく、円を中心にすえたイギリス式のロータリー交差点だが、それはカタチだけ。このロータリーが右回りなら右回りと決められていないのである。ひしめくキャラクターが大筋合意で右回り、大同小異で左回り。バス、オートリクシャ―、4ケツのバイク 、大荷物を積んだ自転車、歩行者、牛までもが自分の行きたい方向を主張し合って、譲らないのである。 ロータリーで50メートルほど進むのに1時間以上を費やす。人は1時間でなにができるだろう?職場ならパソコンに向かってサクッと仕事ができちゃうかもしれない。グーグルマップを活用して、地下鉄を乗り継ぎ、何キロも移動し、目的地に簡単に到着できちゃうかもしれない。
でもインドにいる我々は仕事は忘れ、行先も考えず、ずっとその行き交う人々をみていた。
バスの窓から偶然居合わせた日本人とインド人、お互いこの渋滞に巻き込まれた「ヤレヤレ感」を身振り、手ぶり、表情を交換し、同じ時間を過ごした。
目の前の人がまったく分かり合えそうになくても、少しでも意思疎通ができないか?笑ってもらえないだろうか?これ職業病。認知症があっても、かならずオレのなにかが通用するはずだ・・・なんて。
北野くんが立ちあがって、バスの網棚に頭を打つ演技をした。「イターッ!」と頭を抱える。大型バスの満員のインド人が笑った。
ここから、だれもが競い合うように、行き交う人からウケようとし始める。

小さな表情の変化、反応を集めて生活を紡いできた介護職の性(さが)。インドはその人の本性を丸裸にする。

 

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インドの自由すぎる交通事情

 

 

物を乞う人々
小6の娘に「インドに来て何が印象的だった?」と聞くと「食べ物ほしいと寄ってくる人」と答えた。インドがIT立国として豊かになり、急激に経済成長していると聞いていたが、20年前と町で見る光景は変わらなかった。
交通渋滞、道端で寝ている人と犬、キンマを噛んで唾を吐く人、ぐりぐり目の子供たち、サル・ゾウ・ウシ、そして物乞い。
物を乞う人々、確かに日本ではまず見ない光景。それを日常の生業としている人とインドでは対面することになる。物を乞う人が来たら、「また来た」と娘は固まっていた。固まる娘に、サリーを被った痩せたおばさんが手ぶりで「赤ちゃんに食べ物を」と詰め寄る。僕も親として、あまり怖がらせてもいけないか?とも思ったけど、そのままにした。「固まる」なにか理解できないことに遭遇したら、誰だって普通の反応だ。そう、まずは「固まる」こと、そして「自分に何ができるか」を考えること。そして正解じゃなくてもいいからアクションすること。それを娘に知らせたくてインドに来たのかも、と思った。大人もそれぞれ。ツアー参加のこてっちゃんこと高橋知宏さんは、物乞いの男の子の太鼓を借りて叩かせてもらい、お礼に10ルピーを払うというアクションをした!(これフェイスブックの動画でみれます)。大半の人は固まったままの中、正解じゃなくていいからアクションする、それができる人を僕はすごいと思った。「この人、ホント太鼓返してくれる?」なんて太鼓取られた男の子は不安な苦笑い。さあ次から物乞いされたらどうすべきか?娘には難しい宿題に違いない。親の僕だって答えは知らない。小6の娘は言った。「お父さん、私考えるからさ、日本に帰ろうよ」
日本?あのアクセク働いて、ルールづくめのあの国に?本気か?戻ってもうまく生活できそうにない自分に気づく。あ、旅の最初にインド人が引きちぎって、草むらに捨てた時計の針を探しにいかないと!

 

 

終わり ・・・

でも来年も行くかも・・・

 

 

 

 

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