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雑誌 「認知症ケア 最前線」に原稿書きました!!

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今回は特集 プロに学ぶ認知症リハビリテーション に原稿を書かせていただきました。

移乗と更衣をテーマに。イラストがしっかり入れてくれているのでわかりやすいです。

要約を掲載します。

認知症ケアのポイント 更衣・移乗について   

 

 

更衣のポイント

今回は認知症者の方の更衣と移乗の介助についてポイントをお伝えします。まずは更衣の介助のポイントです。とくに入浴時に更衣をすることが多いため、入浴前後の更衣介助を中心に解説していきます。

 

 

 

  • 生活習慣に合わせた動作・着やすい服選び

更衣することは生活上のいくつかの大切な意味があります。清潔な服を着る、好みの服を着る、季節に合わせた服を着る・・・。そういった事柄を満たしているか、介助者はそれとなく確認していきましょう。

とくに認知症者の中には、季節感がわからなくなってしまっていたり、不潔なものを何度も着てしまったりということがあるため、配慮が必要です。

 

 介助のポイント

 

 

キューがでるポイントを知る

認知症者の中で、動作の失行があると、服を手渡されても、どう着ていいのか、混乱される場合があります。そんな場合のお勧めなのが、キューポイントまで介助する方法です。

たとえば、腕時計を外す介助すると、自然と袖を脱ぎ始める人、眼鏡をはずすと、かぶりシャツを着ることができる人などがいます。

この場合、腕時計を外す、とか眼鏡をとるなどがその人のキューポイントになります。また、かぶりシャツなら頭からかぶっていただくとあとは自然の流れで袖を通していただける人などがいます。各人それぞれのキューポイントまで介助するというのが、更衣介助の極意といえます。

 

 

  • 流れ作業は避ける

認知症者の生活を介護する上で、まずは大切なのは落ち着いた雰囲気です。よく施設でみられるように場面ごとに担当のケアスタッフが変わることも避けたほうがよいでしょう。混乱をきたす原因となります。たとえば入浴時の浴室での介助者と脱衣場での更衣の介助者が違うという、『流れ作業』のような介助をしていると、認知症者は混乱しがちです。落ち着かない人には、「お風呂に行きましょう」の声かけから、着替えが終了し「お茶を飲みましょう」と脱衣場を出るまで、一貫して『相性の良い介助者』が関わるとうまくいくケースが多いです。落ち着いた生活のためには『相性』がとりわけ大切な要素となります。

 

 

③タイプを知り、対応に配慮する

認知症の方の性格によっても声かけ・介助の仕方が大きく変わるといえます。

ある日、服を裏表逆に着てしまった人がいた場合を考えてみましょう。

 

 

開放的な性格(失敗を笑ってすませるタイプ)

間違っていても笑って、やり直すことが可能であれば、明るく指摘し、

あ、○○さん、服が逆ですよ!

ご本人「アハハ、またやってしまったね」

と笑って答える。そういった方であれば、やり直しながら、動作の誤りやすいポイントを一緒に確認すると良いでしょう。

 

葛藤型性格(自分の失敗が許せないタイプ)

自分の失敗が許せないので、「間違ってますよ」と頭ごなしに指摘するのは避けたほうがよいでしょう。落ち込みやすい人「あーやってしまった!(シュン)」や激怒する人「そんなはずはない!(怒)」と失敗に対して動揺がみられる人もいます。そんな場合、こちらが気付かなかったので、もう一度やり直させてくださいとお願いしながら声かけをしていくこほうがよいでしょう。

 

 

 

  • 更衣の前に勝負が決まっている!?

どんな介護場面でもそうなのですが、更衣場面を切り離して考えることはあまり意味がありません。更衣に付随する、たとえば入浴はどのように行われているでしょうか?施設の生活で『気持ちの良い入浴の時間』、『大好きなヒノキのお風呂につかろう』そんな日課があるのなら、進んで着替えてくれる方が増えて、自然とその動作も向上するものです。また心地よい人間関係が築けているでしょうか?介護現場は忙しいもの。業務のスムーズな進行が優先され、文中に書いたように、人が入れ替わる、『流れ作業』のような落ち着かない環境の中で、認知症者の方が更衣をしても、あまりうまくいかないと思います。

 

認知症者の移乗のポイント

移乗は介護現場でもっと大切にされるべき生活動作の一つだと思います。移乗動作は一日何回行なうでしょうか?実は多い人なら20回は行なっています。

その動作を、テキトーに行うのか、身体機能を存分に発揮した動作として行なうのかで、その後の生活が大きく変わってしまうといえます。

認知症者にとって必ず守りたい着目点を挙げていきます。

 

➀生理的な動作を大切に介助する

椅子に移る動作を分析すると、お辞儀をして、浮いたお尻を回して隣のイスに座るという動作がみられます。

 

 

ふだんの介助を見直そう

前から抱える介助を模式的に現してみましょう。生理的な動作とは逆に頭が上方に移動し、無理やり移されていることがわかると思います。これでは人の身体機能を引き出して、動きやすい動きで移乗できているとは言えません。

 

 

快の感覚を大切に!

介護では(これは認知症者に限ったことではありませんが)移乗などの動作で生理的な動きを引き出せるように介助をするという気合が必要です。動いていて気持ちが良いという「快の感覚」があれば、その動作は本人の身体運用のベースになりえます。そして、動いていただけなかった方が再び動き始めるきっかけになりえます。以下に「快の感覚」を大切にしたおすすめの移乗介助を紹介します。

 

 

オススメの移乗介助法として「よりそい移乗」と「お辞儀移乗」を図説しました・・・詳しくは雑誌で

 

 

➁視点を合わせる

よく認知症介護で大切なことに「視線を合わせる」ということがよいと言われていますが、そうとは言えないケースをよくみかけます。近距離で「視線を合わせる」ことに、圧迫感を感じる人も多いのです。むしろ私は「視点を合わせる」ことのほうがよいケアをするうえで、身につけるべき態度ではないかと考えます。

 

移乗を例にとりますと「あの椅子に一緒に移りましょう!」と同じ対象物(この場合、前方のイス)に視点を合わせ、協力体制で移るのです。このとき、対象者と介助者は同じものを見つめ、同じ目標に対してトライするということが始まります。そして一緒に喜びあえる、この時に自然と「視線が合わさる」そんな場面をたくさんつくっていけるとよいと思います。

 

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